M-1王者 霜降り明星が目指す先にさんま、ダウンタウンはもういない。
「さんま、ダウンタウンにはやっぱ勝たれへんからな、面白さでは」
自身のラジオ『霜降り明星のだましうち』で彼らはそう語っていました。
いわば笑いの白旗宣言。
今一番勢いのある彼らが何故早々に白旗を上げてしまったのか?これからTVのバラエティに出まくり、いずれはMCや冠番組を持ちたいということが従来の芸人の目指す姿でした。
M-1優勝直後の会見でも、「次の世代を作っていきたい」と熱く語っていた彼ら。そんな彼らの口から出たコメントにお笑い好きとしては驚きを隠せませんでした。
しかし彼らの「次の世代を作る」ということは、さんまやダウンタウンとは違う道で戦うことを意味していたのでした。
20代で固まって若者向けのムーブメントを作りたい
前述のラジオで彼らはこう話します。
「20代で固まって、若い人向けのムーブメントを作りたい」
「上の人たちが介在できない、別の次元でやりたい」
ツッコミのせいやは夜な夜な興奮しながら考えているという構想を語ります。
「20代で固まって団塊の世代みたいに勝手に名乗っていったら次の新しい時代、ムーブメントを作れるんじゃないか?」
そのメンバーには同世代のKOC王者ハナコやゆりあんレトリィバアの名前が挙げられていました。また芸人だけでなく、YOUTUBERのワタナベマホト、フィッシャーズ、音楽界では。岡崎体育、ヤバT(ヤバイTシャツ屋さん)、清竜人、ももクロなど若い人達の支持を集めている、夢のようなメンバーが候補として挙げられています。
「上の人の安心感には勝てない、ダウンタウンよりおもんないってよく言われるけど当たり前」
2人はレジェンドである芸人に勝つのではなく、20代という若さを武器に従来の芸人とは別のフィールドで戦いたいという夢を熱く語ります。
従来の芸人や価値観とちがうフィールドで戦いたい。
過去に同じように考え、超売れっ子ながらTVの露出を抑え、絵本を書き始めた異端児がいました。
そう、キングコング西野です。
先輩が引いたレールを走っても追いつけない
キングコング西野は若干25歳でTV、ひな壇を辞め、違うレールを走りだします。
そのきっかけになったエピソードをある講演会で話しています。
25歳のときに、一応すごくテレビに出たんですよ。視聴率もいっぱい取って、たぶん週の合計で60%ぐらい取ったんですよ。何千万人から毎週毎週自分を見てもらってる状態ですよね。で、その状態でいても結局、突き抜けることはできなくて、ちょっと飽きちゃった。
露出は増えたし、収入は増えたし、チヤホヤされるようになった。そこまで行ったら、スターになれるのかなと思ったら、ところがどっこい、スターにはなってない。やっぱり上には、タモリさん、さんまさん、たけしさんがいらっしゃって、ダウンタウンさん、ナインティナインさんだとかもいらっしゃる。こういう先輩方がいて、僕はその方々を抜いてもいない。ディズニーも倒さなきゃいけないっていうのに、こんなところでつまずいてる場合じゃない、「俺、たけしさんに負けたくないぞ」と思って…。
そもそも、なんでたけしさんとかに負けてるのかなって考えてたら、やっぱり当然で、自分が走っているレールっていうのは、たけしさんが引いてくださったから。先輩方が引いてくださったレールを走ったら、そりゃ先輩方の背中があるのは当たり前の話だなあと。
だから、自分でレールを引いて、先輩方が鈍行で走ってるところを新幹線でばっと行ってやれって思って、絵本をやってやろうと思ったんです。
従来とは違う価値観で戦う。無謀にも思えたこの挑戦は大成功。いまや絵本、ビジネス本を出せば大ヒット、自身原作の映画も4月に公開予定と、自分のレールで着実に成功しています。
お笑い界のシフトチェンジ
お笑い界のゴールが冠番組を持つ、ゴールデンで司会をすることであるという価値観は、20代の芸人にはすでになくなっているのは非常に興味深いです。
芸人がyoutuberもやる時代。面白さの尺度も変わり、TVの影響力も以前よりは弱まっています。
そんななか現れた実力、スター性を兼ね備えた霜降り明星の2人には、『めちゃイケ』や『はねとび』という番組レベルではない、社会を動かすような大きなムーブメントを起こしてもらいたいものです。
●HPがないのでwikipediaをのせておきます。